オフラインで生成AIを使うには何が必要?|機器の目安と費用の決まり方

オフラインで生成AIを使うのに必要な機器と構築。民生機DGX Spark 2台で約240万円、産業用GPUワークステーションで約600〜850万円、構築は範囲で決まるため個別見積(2026年10月時点)

生成AIを社内に置いて使う「オフライン生成AI(ローカルLLM)」の費用は、調べると数百万円から数千万円まで幅があります。

幅だけ見ても、自社の金額は分かりません。

この記事では、オフラインで生成AIを使うのに何が必要で、費用はどう決まるのかを、弊社が実際にご案内している構成をもとに「初期費用」「保守」「継続費」の3区分で整理します。

金額はすべて2026年10月時点の目安です。GPUの価格は在庫・為替で短期間に動くため、「この水準で動く」ではなく「この順番で高くなる」と読んでください。

POINT

オフラインで生成AIを使うのに必要なのは、機器と構築。機器は民生機のDGX Spark 2台で約240万円、産業用GPUワークステーションで約600〜850万円。構築費は範囲で決まるため個別見積。人数の上限は「同時に送る数」と「入力の長さ」で決まります。さらに費用を抑えたい場合は、耐久性・買い替え・PoC前提の注意つきで民生用PC(GeForce RTX)も検討対象。金額は2026年10月時点の目安で、GPU価格は変動します。

目次(9項目)
  1. 結論:必要なのは機器と構築。機器は民生機で約240万円、産業用で約600〜850万円
  2. 1. 初期費用=機器+構築
  3. 2. 保守=選択制の月額
  4. 3. 継続費=電気代程度
  5. 見積の幅は、この4つで決まります
  6. 内製すると安いのか
  7. 投資対効果:何名で、何分減るか
  8. 小さく始めて広げる(金額は変動する前提で)
  9. まとめ:見積を取る前に決める3つ・各社に聞く4つ

結論:必要なのは機器と構築。機器は民生機で約240万円、産業用で約600〜850万円

構成向いている環境機器の目安
民生機|DGX Spark ×2台オフィス。日常的に使う人で〜10名/台が安全側の目安(20名で2台)約240万円(約120万円/台)
産業用|GPUワークステーション工場・現場。日常的に使う人で〜20名/1台が安全側の目安約600万円(GPU1枚)/約850万円(GPU2枚)
(参考)民生用PC|GeForce RTX搭載さらに費用を抑えたい場合・PoC用途PC一式 約50〜170万円(GPUで変動・下記の注意点あり)

いずれも税別・買い切りで、月額のライセンス費用はありません。

構築費は機器とは別にかかります。取り込む文書の量、RAGの範囲、利用者管理の作り込みで変わるため、個別にお見積りします。

  • 人数の目安は弊社の安全側の値で、登録する人数に上限はありません。決まるのは同時に送る質問の数で、上限を超えても止まらず、回答が出始めるまでの時間が延びます(詳しくは1章末尾)。
  • 20名以下なら、どちらの構成でも対応できます。
  • 主な分かれ目は置く場所です。オフィスなら民生機、工場や現場で長期運用するなら産業用です。
  • 弊社の基本は上の2構成です。さらに費用を抑えたい場合は、注意点つきで民生用PCも検討できます(1章末尾)。

1. 初期費用=機器+構築

機器が金額差のほぼすべてです。

  • 民生機(DGX Spark): 150×150×50.5mm・1.2kgの小型AI専用機(メモリ128GB版)。台数を足して人数を広げます。
  • 産業用GPUワークステーション: 高性能GPU(例:NVIDIA RTX PRO 6000・96GB)を搭載。GPU増設で性能を広げます。20名以下ならGPU1枚で足りる場合があります。

構築は、どの構成でも標準の範囲は同じです。金額は範囲によって変わるため、個別にお見積りします。

  1. 基盤環境のセットアップ(複数台なら利用の振り分け設定)
  2. LLM実行基盤とAIモデルの導入
  3. ローカルAIエージェント基盤の構築
  4. PDFを取り込んだナレッジ検索(RAG:社内文書を探して根拠つきで答える仕組み)
  5. モデル切り替え・設定調整ができる状態での引き渡し
  6. 操作レクチャー・初期活用支援
  7. 利用者管理(ID・パスワード、部署別に使えるAI・文書の範囲を制限)

含まれないのは、個別業務向けの開発(個人情報の自動マスクなど)、標準を超える権限管理、外部システム連携です。別途お見積りになります。

何人まで使えるかは「同時に送る数」と「入力の長さ」で決まります

回答が10秒以内に出始めることを目安にすると、DGX Spark 1台で同時に送れるのは、短い質問なら20件前後、資料を参照する質問なら5〜10件、長い文書の要約なら1〜2件です(公開ベンチマーク・gpt-oss-120b・vLLM からの弊社試算)。産業用GPUワークステーションはそれぞれ2〜4倍程度が目安です。

全員が同じ瞬間に送ることはまれなので、日常的に使う人はこれより多くても対応できます。長文の要約を多く使う場合や、2秒以内の応答開始を求める場合は、同時に送れる数が大きく減ります。モデルと入力の長さで変わるため、実際の文書で確かめてから台数を決めます。

(参考)さらに費用を抑えたい場合:民生用PC+GeForce RTX

弊社がご案内する基本はDGX Sparkまたは産業用です。「それでも初期費用を下げたい」「まず自社の文書で試したい」という場合に限り、市販PCにGeForce RTXを載せた構成も検討対象になります。

GPU(2026年10月・価格.com等の実売)VRAM公式値で載るモデルの例
RTX 5070(約15〜19万円)12GB GDDR7Gemma 4 12B(4bit)、Qwen3 8B/14B(INT4)
RTX 5070 Ti/5080(約21〜32万円)16GB GDDR7上記+gpt-oss-20b(公式の最低ライン16GB)
RTX 5090(約115万円〜・流通少)32GB GDDR7上記+Gemma 4 31B(4bit)、Qwen3 32B(INT4)

PC一式(メモリ64GB)はBTOで、RTX 5070搭載機が約50万円、RTX 5090搭載機が約140〜170万円です(2026年10月のBTO各社の表示価格から)。

民生用PCを選ぶ前の注意点

  • 耐久性: 一般向けの部品で、24時間稼働や工場環境を前提にしていません。産業用のような長期の安定稼働は見込めません。
  • 買い替え前提: 数年で機器を入れ替える前提で考えてください。本番に移す際はSparkか産業用へ載せ替えが必要になります。
  • PoC前提: 載せられるモデルはSpark(128GB)より小さく、同時利用も少人数向けです。「効果を確かめる段階」の構成とお考えください。

2. 保守=選択制の月額

保守はご希望の場合のみ、月額でご契約いただきます(金額は別途お見積り)。

  • 範囲: 障害対応(訪問含む)・AIモデル更新・OS更新・ソフト更新・RAGの文書追加と精度調整・問い合わせ窓口
  • 付けない場合: 月額ゼロ。更新・バックアップ・文書追加はお客様側、不具合は都度お見積り

生成AIは半年で構成が古くなることも珍しくありません。長く使うなら、保守の有無は導入時に決めておくのがおすすめです。

3. 継続費=電気代程度

モデル利用料・ライセンス料・サーバー管理費はかかりません。

残るのは電気代で、DGX Spark 2台の常時稼働で月1万円程度です(240W×2台・30円/kWhの弊社試算)。産業用はこれより高くなります。

「月額ゼロ」はベンダーへの支払いの話です。更新・故障対応・将来の機器更新の手間は残ります。

見積の幅は、この4つで決まります

  • 置く場所と規模: オフィスで〜20名なら民生機、現場なら産業用
  • モデル・機器のグレード: 動かすモデルのサイズで必要なGPUが決まる
  • RAG構築の範囲: 標準の取り込みまでか、業務ごとの個別開発まで含むか
  • 伴走支援の有無: 納品して終わりか、操作レクチャー・定着支援まで含むか

人数・置く場所・作り込みの範囲を先に決めてから見積を取ると、適正額に早くたどり着きます。

クラウド型との使い分けは「オフライン生成AIとクラウド、どちらを選ぶべきか」で整理しています。

内製すると安いのか

専任チームを組むと、人件費だけで年間約3,840万円になります(AIエンジニア月100万円+ITエンジニア月70万円+インフラ月70万円+PM月80万円の12か月・当社調べの目安)。機器は内製でも同程度かかります。

内製が向くのは、AI基盤を自社で育て続ける人材を持つ場合です。「一度作って安定して使いたい」なら、構築を外部に任せる選択肢があります。比べるときは、保守を含めた年額で揃えてください。

投資対効果:何名で、何分減るか

弊社のモデルケース(従業員100名・平均年収500万円)では、1人1日7分の削減で年間約750万円の効果になります。

試算

7分 × 100名 × 年240日 = 約2,800時間 ≒ 約750万円/年

  • 100名規模なら人数に応じて台数を決めます。産業用の機器2台分(約1,200万円〜)と比べても、機器費用だけならおおむね2年以内に見合う計算です。
  • 20名なら削減額は年間約150万円です。民生機2台(機器約240万円)なら2年弱です。

いずれも構築費・保守費・電気代は含まず、効果を保証するものではありません。自社の人数と数字で試算し直してください。

小さく始めて広げる(金額は変動する前提で)

STEP

1|DGX Spark 1台で始める

機器は約120万円が目安です(構築費は範囲により別途)。費用を抑えるなら、注意点を踏まえたうえで民生用PCのPoCから入る方法もあります。実際の社内文書で、どの業務が何分減るかを確かめます。

STEP

2|台数追加、または産業用へ

Sparkを足すか、GPUワークステーションを追加します。1台目は特定チーム用・検証用として使い続ける想定です。文書の引き継ぎ方は拡張時の構成に合わせてご案内します。

利用開始までの目安は、民生機で2〜3か月、産業用で3〜5か月です(機器納期+構築1〜2か月)。

まとめ:見積を取る前に決める3つ・各社に聞く4つ

先に決めること

  1. 何人が使い、どこに置くか(オフィスか、工場・現場か)
  2. どの社内文書を読ませるか
  3. 運用を自社でやるか、保守を任せるか

各社に聞くこと

  • 構築にどこまで含まれるか(上の7項目と突き合わせる)
  • 保守は必須か、選択制か
  • 保守の月額と、保守なしの場合の対応
  • 機器の納期と、利用開始までの期間

構成別の概算をお出しします

「自社の人数・置く場所だと、どの構成になるのか」。そうしたご相談に、構成別の概算をお出しします。売り込みはいたしません。金額感だけ持ち帰っていただく形でも構いません。

お問い合わせはこちら

社外に出る通信・出ない通信の確かめ方は「オフライン生成AIで外に出る通信・出ない通信」をご覧ください。

参考(仕様・価格・ベンチマーク・体感閾値の確認元)

部品が余っても付け忘れか分からない|組付け忘れを数で防ぐ前提

組立のあとに余った2個の部品が、もともと多く入っていた場合と付け忘れた場合の2通りに読めることを示す図

組立が終わったら、ネジが2本余っていた。付け忘れなのか、もともと多く入っていたのか、分からない。

余りで付け忘れを見つける方法は、払い出した数が正確なときだけ効きます。

この記事の要点
  • 「余ったら付け忘れ」と言えるのは、払い出した数が分かっているときだけです
  • 袋の表示と中身の数が違うと、余りの原因を追えなくなります
  • 払い出す数を揃える方法は、手・重さ・落として数える・画像の4つです

結論:「余ったら付け忘れ」は、払い出した数が分かっているときだけ言える

POINT

部品が余ったときに付け忘れと判断できるのは、払い出した数が分かっている場合だけです。必要な数ちょうどを払い出していれば、余りがそのまま付け忘れの合図になります。

1台分の部品をトレーに用意し、作業のあとに余りを確かめる。組付け忘れを防ぐ方法として、広く紹介されているやり方です。トレーに部品が残っていれば、付け忘れに気づけます。

この方法には前提があります。トレーに入れた数が、正しいことです。

数が最初からずれていると、余りは2通りに読めてしまいます。もともと多かったのか、付け忘れたのか。どちらなのかは、余った部品を見ても分かりません(図1)。

組立のあとに余った2個の部品が、もともと多く入っていた場合と付け忘れた場合の2通りに読めることを示す図
図1 余りの2通りの読み方(当社作成の模式図)

払い出す数がずれる場面

POINT

払い出す数は、数えずに工程へ出したときにずれます。

  • 袋や箱の表示を、そのまま数として使っている:小さい部品では、表示より多めに入って納入されることがあります。表示の数で払い出すと、実際の数は分かりません。
  • 袋のまま、または「だいたい」で出している:足りなくなるよりはと、多めに出すやり方です。余りが出るのが普通になり、余りを見ても何も言えなくなります。

多めに入っていること自体は、足りないよりは良いことです。困るのは、数が分からなくなることです。

数がずれたままだと起きること

POINT

余りの原因を追えないと、製品を1台ずつ確かめ直すことになりがちです。

  • 余りが出たとき:付け忘れかどうかを、部品の数からは判断できません。出来上がった製品を、全数確かめることになりがちです。
  • 付け忘れが見つかったとき:組み上がった製品を分解して、やり直すこともあります。工程が進んでいるほど、戻る手間は大きくなります。
  • 部品が足りなくなったとき:もともと少なかったのか、どこかに落としたのかが分かりません。

数が分かっていれば、余りが出たその場で、その1台に絞って確かめられます。

払い出す数を揃える方法:手・重さ・落として数える・画像

POINT

払い出す数を揃える方法は4つあり、部品と数によって向き不向きがあります。

  • 手で数える:道具が要らず、すぐ始められます。数が多い部品や小さい部品では、時間がかかり、数え直しが起きることもあります。
  • 重さで数える(計数はかり):載せるだけで数えられ、手早い方法です。1個が軽い部品や、重さがそろっていない部品では、数がずれることがあります。
  • 落として数える(計数機):流れていく部品を1個ずつ数えます。決めた数ごとの小分けや袋詰めに向きます。卓上に置ける機種もあります。
  • 広げて画像で数える:トレーに広げた部品を上から撮り、1個ずつ数えます。1個の重さに左右されない代わりに、広げる手間がかかります。

方式ごとの費用の目安

導入にかかる費用は、方式によって大きく違います。各社が公開している価格をもとにした目安です。

  • 手で数える:道具代はかかりません。
  • 重さで数える(計数はかり):国内メーカーの業務用で3万円台からあります。精度や秤量の高い機種は10万〜40万円台です。
  • 落として数える(計数機):公開価格はほとんどなく、見積になります。メーカーが示す価格帯は、手で投入する簡易型で10〜50万円、卓上型で100〜500万円、フィーダー付きの据置型で500万円以上です。
  • 広げて画像で数える:USBカメラとソフトの組み合わせで十数万円、設置込みの専用機で150〜170万円程度です。

※2026年10月時点で各社が公開している価格・価格帯をもとにした目安です(税込・税抜が混在)。機種や構成によって変わります。

方式ごとの詳しい違いは、「微小部品をバラで数える方法」で説明しています。

バラカウントAIの専用筐体と作業者の3Dイメージ。モニターに検査画面を表示
図2 バラカウントAIの装置(3Dイメージ)

当社のバラカウントAIは、広げて画像で数える方式の装置です。

  • 数えた実績のある部品:チップ抵抗・チップコンデンサ、コネクタ端子、ネジ・ワッシャ、Oリングです。
  • 黒いゴムの部品:数えられます。
  • 部品の大きさ:小さいものは0.2mm角級のチップ部品まで、デモで数えた実績があります。
  • 一度に数える数:数百個です。数える処理は、500個程度で1〜2秒です。部品を置く時間や確認の時間は含みません。
  • くっついた部品:接している部品、交差している部品は1個ずつ数えます。上下に完全に重なった箇所はNGと表示し、人が確認します。
  • 苦手な部品:透明な部品です。背景と見分けにくく、数え誤ることがあります。
  • 装置:PC1台で動き、数えた結果はCSVで出せます。

数が合うと、できるようになること

POINT

払い出した数が正確なら、「トレーが空になった=数の上では使い切った」と言えるようになります(図3)。部品を落とした場合や、違う場所に付けた場合は、数だけでは分かりません。

  • 付け忘れに、その場で気づける:1個でも残れば、その1台を確かめます。出来上がった製品をまとめて確かめ直す場面を減らせます。
  • 余りと不足の原因を追える:払い出した数と使った数を比べられるので、どこでずれたかを絞れます。
  • 納める側としても、数を示せる:指定の数ちょうどで入れてほしい、という納入先の要望に応えやすくなります。
必要な数ちょうどを払い出し、組み付けて、トレーが空になれば数の上では使い切ったと言える流れを示す図
図3 数を確かめて払い出す流れ(当社作成の模式図)

よくある質問

Q1. 多めに入っている分には、困らないのではありませんか?

足りなくなる心配は減ります。一方で、余りが出ても付け忘れと区別できなくなります。

付け忘れが流出すると困る部品だけでも、数を確かめてから払い出すと、余りの意味が決まります。

Q2. すべての部品を数えて払い出すのは、手間ではありませんか?

すべてを数える必要はありません。付け忘れが流出すると困る部品と、重さでは数が合いにくい軽い部品から始める方法があります。

Q3. 画像で数えれば、数え間違いは出ませんか?

画像で数える方式でも、ずれが出ることはあります。上下に完全に重なった部品は、下の部品がカメラから見えません。

当社の装置では、重なった箇所をNGと表示し、人が確認する設計にしています。

払い出しで数えたい部品が、画像で数えられるか確かめます

部品の写真、または現物をお預かりして、画像で数えられるかを確かめてお返事します。払い出しの前に数えたい部品があれば、製品ページのお問い合わせ欄からご相談ください。

バラカウントAIのお問い合わせフォームへ

部品を一発で数えたい|評価で見えた課題と、AIで改善したこと

バラカウントAIの専用筐体と作業者の3Dイメージ。モニターに検査画面を表示

当社は、トレーに広げた部品を画像で数える装置を作っています。以前、この装置をあるお客様の現場で試していただきました。

初回の評価では、課題が見つかりました。部品同士がくっついていると数えられず、置き直しや手直しが手間になる、というものです。

そこで当社は、AIを活用して、くっついた部品も1個ずつ数えられるように改善しました。

バラカウントAI。上のカメラでトレーの部品を撮影し、モニターに数えた結果を表示する
バラカウントAI。筐体は3Dイメージ、モニターの画面は実際の画面

この記事では、初回の評価で見えた課題と、AIを活用して改善したこと、まだ人の確認が残るところを順に書きます。

この記事の要約 – 初回の評価で見えた課題は、「くっつくと数えられない」「NGのたびに手で直すのが手間」の2つでした – お客様の目的は、数えることではなく、決まった数ちょうどを払い出すことでした – そこでAIを活用し、接している部品・交差している部品も1個ずつ見分けるように改善しました – いまの装置は、500個程度の部品を1〜2秒で数えます – 上下に完全に重なった部品と、透明な部品は苦手です。重なった箇所は人が確認します – お手元の部品が数えられるかは、現物をお預かりして当社で確かめます

初回の評価で見えた課題:くっつくと数えられない

POINT

初回の評価で見えた一番の課題は、部品同士がくっついていると数えられないことでした。

ネジ・ナット・ワッシャなどの小さな部品
ネジやワッシャのような小さな部品は、トレーに広げても互いに接しやすい(写真はイメージ)

試していただいたのは、電子機器の基板実装をされているお客様です。組立での部品の付け忘れを数の過不足で見つけるために、使う部品を決まった数だけ払い出す運用をされていました。その数を確かめる手間を減らしたい、というのがご相談でした。

ビス(小ネジ)のほか、大小のコネクタでも試していただきました。当時の装置は、部品が接していると1個ずつに分けられず、その箇所を赤枠(NG)で表示していました。NGが出ると、部品をばらして置き直すか、画面上で1か所ずつ手で直すことになります。

ビスは転がるので、動きが止まるまで待つ時間もかかりました。数える処理そのものは速くても、その前後の手間が大きかったのです。

お客様が求めていたのは、「置いたら一発で数えられ、並べ替えも手直しも要らないこと」でした。

もう1つの課題:「数える」と「数を合わせる」は違う

POINT

当社が見落としていたのは、払い出しでは「いくつあるか」ではなく「決まった数に合わせる」ことが目的だ、という点でした。

100個を払い出したいとき、88個なら12個足してもう一度数える
決まった数に合わせる作業では、足しては数え直すことを繰り返す

たとえば100個を払い出したいとき、数えた結果が88個なら、12個を足してもう一度数えます。足すたびに部品の並びは変わり、くっつく箇所も変わります。

そのたびにNGが出て、手で直す。これを繰り返すと、数える処理が速くても、作業全体は速くなりません。NGになる箇所そのものを減らすことが、払い出しの現場では欠かせない。これが評価で分かったことでした。

AIを活用して改善したこと:接した部品を1個ずつ見分ける

POINT

この2つの課題を受けて、納品実績のある画像解析にAIを加え、接している部品や交差している部品を1個ずつ見分けて数えるように改善しました。

評価でいただいた指摘と、そこから作り直したこと
初回の評価で見えた課題と、改善したこと

改善した装置が「バラカウントAI」です。変えたことは次のとおりです。

  • 接触・交差した部品を数える:トレーに広げた部品が接していても、交差していても、AIが1個ずつ見分けて数えます。NGになる箇所を減らすための改良です
  • 数える速さ:500個程度の部品を、1〜2秒で数えます
  • 結果を残す:数えた結果はCSVで出力できます
  • PC単体で動く:装置につないだPC1台で動きます

変えなかったこともあります。全自動で完結させず、最後の判断は人が行う設計は、そのままです。AIが怪しいと判断した箇所だけをNGとして表示し、人はそこだけを確認します。

対応する部品の大きさやトレーの寸法は、お客様の部品に合わせて変更できます。

まだ人の確認が残るところ

POINT

AIで改善したあとも、人の確認が要る場面は残っています。

接している部品と交差している部品はAIが数え、上下に完全に重なった箇所はNG表示で人が確認する
接触・交差は数える。上下に完全に重なった箇所は人が確認する
  • 上下に完全に重なった部品:重なった箇所はNGとして表示し、人が確認します。部品は重ならないよう、トレーに広げて置きます
  • 透明な部品:背景との見分けがつきにくく、苦手です
  • 転がる部品:ビスのように転がる部品は、止まってから撮影します

これまでに数えた実績がある部品は、チップ抵抗・チップコンデンサ(0.2mm角級はデモで数えた実績)、コネクタ端子、ネジ・ワッシャ、Oリングです。

なお、改善した装置は、課題を教えてくださったお客様にはまだ試していただいていません。「置いたら一発」にどこまで近づいたかは、部品と置き方によって変わります。そのため、導入の前に実際の部品で確かめることをおすすめしています。

数える作業は、どれだけ減るか

POINT

いまお伝えできる数字は、導入実績の確認時間と、いまの装置の数える速さの2つです。

  • 導入実績(電子部品メーカー様):部品の数量を確認する作業が、1製品あたり15分から5分以下になりました。確認工数は約1/3以下です。AIを加える前の、画像解析による実績です
  • いまの装置の速さ:500個程度を1〜2秒で数えます。これは数える処理の速さです

部品を置く時間やNGを確認する時間を含めた作業全体の時間は、部品と置き方で変わります。お手元の部品で確かめたうえでお伝えします。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. くっついた部品は、ばらしてから置く必要がありますか

トレーに広げて置けば、接している部品や交差している部品も、並べ直さずに数えます。

上下に完全に重なった箇所だけはNGとして表示されるので、その箇所を人が確認します。

Q2. 決まった数に合わせて払い出す作業にも使えますか

数えた結果を見て部品を足し、もう一度数える使い方になります。

接した部品を見分けるようにしたので、数え直しのたびに手で直す箇所は減る見込みです。どこまで減るかは部品によるため、実際の部品で確かめます。

Q3. 自社の部品が数えられるかは、どう確かめられますか

部品の写真か現物をお送りください。数えられるかを当社で確かめてお答えします。

お手元の部品が数えられるか、当社で確かめます

部品の写真か現物をお送りいただければ、数えられるかを当社で確かめてお答えします。現物はお預かりして、実際の装置で試します。部品の大きさやトレーの寸法のご希望も、あわせてお聞かせください。詳しくはバラカウントAIの製品ページをご覧ください。

バラカウントAIのお問い合わせフォームへ

微小部品をバラで数える方法|リール・X線・重量・画像の使い分け

チップ抵抗やチップコンデンサのような小さな部品は、1個ずつ目で数えると時間がかかり、人によって数がぶれます。目安として、100個を目で数えるのに1分前後かかります。

数える装置を調べると、リールのまま数える装置、はかり、落として数える装置、カメラで数える装置が出てきます。どれも「部品を数える」装置ですが、得意な場面が違います。

この記事では、各メーカーの公開情報をもとに方式ごとの得意なことを並べ、最後にチェックリストで自社の部品に合う方式を判定します。

結論:数え方は「部品がどんな状態か」で決まる

POINT

最初に見るべきなのは装置の性能ではなく、数えたい部品が今どんな状態にあるかです。

  • リールやテープに入ったまま数えたい → リールカウンター、X線チップカウンター
  • 袋などにバラで入って納品された部品を数えたい → 個数はかり、落下式のパーツカウンター、画像で数える方式

リール向けの装置は、リールに収まった部品を数えるための装置です。この記事でいう「バラ」は、1袋にまとめて入った状態で納品される部品のことです。バラで届く部品は、残りの3つの方式から選びます。

リールのまま数える:リールカウンターとX線チップカウンター

POINT

リールに入った部品は、テープを送って数えるか、X線でリールごと撮影して数えます。

リールカウンター(テープを送って数える)

リールカウンターの仕組み図。テープを元のリールから巻き取りリールへ送り、計数部で部品を数える
図1 リールカウンターの仕組み(当社作成の模式図)

リールカウンターは、テープを別のリールへ巻き取りながら、送った分の部品を数える装置です。あるメーカーの説明では、テープの送り穴(スプロケット穴)の間隔をもとに部品の間隔(ピッチ)を設定し、モーターでテープを送ります。数え終わったテープは元のリールへ巻き戻します。

空いているポケット(部品が入っていない区画)を見つけると止まって知らせる機能を持つ機種もあります。決めた数で止める機能もあり、指定数を切り出す作業に向いています。

X線チップカウンター(リールごと撮影する)

X線チップカウンターの仕組み図。X線源からリールにX線を当て、検出器で撮った画像から部品を数える
図2 X線チップカウンターの仕組み(当社作成の模式図)

X線チップカウンターは、リールにX線を当てて画像を撮り、画像処理で部品の数を数える装置です。X線が金属を通りにくい性質を使い、リールの中の部品を写します。

メーカーの説明では、トレイにリールを入れてボタンを押すだけで、複数枚のリールを同時に数えられる機種があります。リールをトレイに入れたまま数えられる機種がある点が、テープを送って数えるリールカウンターとの違いです。

バラの部品を数える①②:重さで数える方式、落として数える方式

POINT

バラの部品を数える方式のうち、重さと落下の2つは、部品をトレーに広げずに数えられます。

重さで数える:カウンティングスケール(個数はかり)

個数はかりの仕組み図。全体の重さを1個の重さで割って個数を出す
図3 個数はかりの仕組み(当社作成の模式図。数値は例)

カウンティングスケールは、先に1個あたりの重さを登録し、全体の重さから個数を割り出すはかりです。ひとまとめにのせるだけで数えられるので、同じ部品を多く数える場面に向いています。

はかりのメーカーは、注意点を2つ挙げています。

  • ひょう量(はかれる最大の重さ)が大きいほど、数えられる1個あたりの最小の重さも大きくなる
  • サイズや重さがそろっていない物には向かない

1個あたり数mgの部品では、わずかな重量の誤差が数のずれになることがあります。軽い部品を重さで数えるときは、はかりの仕様で、数えられる最小の1個の重さを確かめてください。

落として数える:落下式のパーツカウンター

落下式パーツカウンターの仕組み図。シュートを落ちていく部品をセンサーやカメラで1個ずつ数える
図4 落下式のパーツカウンターの仕組み(当社作成の模式図)

落下式のパーツカウンターは、シュート(すべり台状の通り道)を落ちていく部品を、センサーやカメラで1個ずつ数える装置です。

メーカーの説明では、重さにばらつきのある部品も数えられ、決めた数ごとに袋詰めできる機種があります。部品を流しながら数えるので、同じ数ずつ小分けする作業に向いています。

一方で、方式ごとに「1個あたりのサイズが大きな物には使えない」などの条件を示す解説もあります。微小部品に使えるかは、機種ごとにメーカーへ確認してください。

バラの部品を数える③:広げて画像で数える方式

POINT

画像で数える方式は、トレーに広げた部品を上からカメラで撮り、画像から1個ずつ数える方式です。重さを使わないので、1個が軽い部品でも重量の誤差に左右されません。

得意なこと

  • 一度の撮影で、トレー上の部品をまとめて数えられる
  • どの部品を数えたかを、画面の上で目で確かめられる製品がある
  • 部品同士が接していても数えられる、と説明するメーカーがある

苦手なこと

  • 透明な部品:背景との見分けがつきにくく、数え誤ることがあります
  • 上下に完全に重なった箇所:下の部品がカメラから見えません
  • 形のばらつきが大きい部品:画像で数える方式には向かない、とする解説があります
  • 撮影時の光:窓からの光や照明の変化が、数え誤りの原因になることがあります

部品の向きや接触、重なりなどの条件によって、結果は機種ごとに変わります。実際の部品で確かめることが前提です。

また、部品をトレーに広げるひと手間が要ります。当社の装置では、数秒ほどの作業です。部品の量とトレーの広さが合っているかも、事前の確認点です。

当社のバラカウントAIの場合

バラカウントAIの専用筐体と作業者の3Dイメージ。モニターに検査画面を表示
図5 バラカウントAIの装置(3Dイメージ)

当社のバラカウントAIは、トレーに広げた部品を上から1回撮影し、一度に数百個を数えます。接している部品や交差している部品は、AIが1個ずつ見分けて数えます。上下に完全に重なった箇所はNGとして表示し、人が確認します。

全自動で終わらせず、最後の判断は人が行う設計です。AIが怪しいと判断した箇所だけを赤枠(NG)で示すので、人はそこだけを確認します。右クリックでNGをOKに、OKをOTHER(除外)に切り替えられます。

バラカウントAIの検査画面。トレー上のネジを1個ずつ色分けして数え、OKとNGの数を表示
図6 バラカウントAIの検査画面(接している部品も1個ずつ色分けして数える)

数えた実績があるのは、チップ抵抗・チップコンデンサ(0.2mm角級はデモで数えた実績)、コネクタ端子、ネジ・ワッシャ、Oリングです。

上に挙げた苦手のうち、形のばらつきと光には、次のように対応しています。

  • 形のばらつき:AIが部品を1個ずつ見分けるので、形にばらつきのある部品も数えられます
  • 光:筐体とソフトの両方で外部の光の影響を抑え、光の変化に強い設計にしています

電子部品メーカー様では、1製品あたりの確認時間が15分から5分以下になりました。これは、AIを加える前の画像解析での導入実績です。現在はAIモデルを加え、500個程度を1〜2秒で数えます。主な用途は、組立・実装での組み忘れなどのポカミス防止と員数チェックです。詳しくはバラカウントAIの製品ページをご覧ください。

なお、組み付けた後の基板や製品に部品が付いているかを確かめたい場合は、ミヌキ外観検査AIが対象です。

自己診断チェックリスト:自社の部品に合う方式は

POINT

当てはまる項目にチェックを付けてください。✓が多いグループが、最初に検討する方式の目安です。

A. リール向けの方式
B. 重さで数える方式(個数はかり)
C. 落として数える方式
D. 広げて画像で数える方式

判定の目安

  • Aに2個以上 → リールカウンターかX線チップカウンター
  • Bに2個以上 → 個数はかり
  • Cに2個以上 → 落下式のパーツカウンター
  • Dに2個以上 → 画像で数える方式
  • 2つ以上のグループに当てはまる → 工程ごとに方式を分けて検討します(例:リールで届く部品はリール向けの方式、袋入りのバラで届く部品はバラ向けの方式。数えるのは個数はかり、小分けは落下式で)

部品が透明な場合は、画像で数える方式の苦手な条件に当たります。実物での確認が先です。

よくあるご質問

Q1. 0.2mm角のチップ部品も、画像で数えられますか?

当社のバラカウントAIでは、0.2mm角級のチップ部品をデモで数えた実績があります。部品の形や色、置き方で結果が変わるため、実際の部品で確かめてから導入を検討します。

Q2. くっついた部品や重なった部品も数えられますか?

接している部品、交差している部品は、AIが1個ずつ見分けて数えます。上下に完全に重なった箇所は下の部品が見えないため、NGとして表示し、人が確認します。

Q3. 重さで数える方式と画像で数える方式は、どう選べばよいですか?

部品の重さがそろっていて、はかりで数えられる重さなら、個数はかりが手早い方式です。1個が数mgと軽く、わずかな重量の誤差が数のずれになる部品では、画像で1個ずつ数える方式が候補になります。

ここに無い部品が数えられるかは、ご相談ください

ここに無い部品が数えられるかは、ご相談ください。部品の種類と置き方を伺い、画像で数えられそうかを一緒に確認します。バラカウントAIの製品ページからお問い合わせいただけます。

バラカウントAIのお問い合わせフォームへ

オフライン生成AIで外に出る通信・出ない通信|止め方と確かめ方

オフライン生成AIの社内サーバーから質問・文書は出ないが、更新確認・使用統計・OS自動更新の通信は出ることを示す図

「社外に出ません」と説明した瞬間、情報システム部門から返ってくる質問があります。「本当に1バイトも出ないのか」。

正確には、オフライン生成AI(ローカルLLM)を社内完結の構成にすれば、質問や文書は社外に出ません。ただしソフトウェアが自分のために出す通信は別にあり、止め方は種類ごとに違います。本記事では、生成AIを社外に出さない構成で点検すべき通信の内訳と、止めたことを確かめる方法を整理します。

POINT

一言で答えると、「接続先を社内に固定し、サーバー単位で遮断し、通信ログで確認した構成」なら、社内文書は外に出ないと説明できます。

  • 外に出るのはソフト自身のバージョン情報などで、社内文書ではありません
  • アプリ設定では止まらない通信があるため、最後はサーバー単位の遮断と通信ログの確認で担保します
  • 遮断設定は弊社の初期設定に含まれます。ログ確認と止めた更新の持ち込み(例:月1回)は、弊社の保守で行うか社内担当者が行うかを導入時に決めます

「社内で完結する構成にするので、図面や文書は外に出ません。出るのはソフトの更新確認のような通信で、社内の文書ではありません。サーバー単位で外向きの通信を遮断し、通信ログで出ていないことを確認します。」

担当者に渡す点検チェックリスト(10項目)は記事末尾にあります。費用と構成の目安はオフライン生成AIのページにまとめています。

経営者の方はここまでで十分です。構成の確認は30分ほどのご相談で承ります。ここから先は、技術担当者向けに5系統の内訳と止め方を説明します。
目次(10項目)
  1. オフライン生成AIは本当に通信しないのか?
  2. 系統1:モデルの取得は、操作したときに出る通信です
  3. 系統2:更新確認は、製品によっては起動しているだけで出ます
  4. 系統3:使用統計は、既定でオンのものがあります
  5. 系統4:外部機能は、設定した接続先へ出ます
  6. 系統5:OSの自動更新は、AIソフトを止めても定期的に出ます
  7. AIソフト以外にも出る通信があります
  8. 弊社の標準構成では、どう止めているか
  9. 自社環境の点検チェックリスト(10項目)
  10. まとめ

オフライン生成AIは本当に通信しないのか?

外部機能を無効化するか社内に固定した構成であれば、質問や文書そのものは外に出ません。一方、導入環境で点検すべき通信は5系統あります(AIソフト由来4つ+OS由来1つ)。契機が違うので止め方も違います(図1)。

オフライン生成AIで外に出る通信5系統(モデル取得・更新確認・使用統計・外部機能・OS自動更新)といつ出るか・止め方の図
図1:オフライン生成AIで外に出る通信5系統と止め方

前提を一つ。外部のLLM APIや外部のWeb検索を接続先に設定した構成では、質問そのものが接続先へ送られます(系統4)。

製品名を知らなくても、下の表と末尾のチェックリストだけで自社環境の点検はできます。製品をまだ決めていない方はそのまま読み進めてください。

本記事に出てくる製品の役割(製品名の凡例)
  • 推論エンジン(AIモデルを動かす土台):vLLM・Ollama・LM Studio・llama.cpp
  • チャット画面:Open WebUI
  • アプリ基盤(業務アプリを組む土台):Dify
  • ベクトルDB(社内文書の検索用データベース):Weaviate
  • モデル配布サイト・ライブラリ:Hugging Face
系統 契機 既定で出るか 止め方
1 モデルの取得 初回・入れ替え時 操作すれば出る 別PCで取得して持込
2 更新確認 起動中に定期(Ollamaアプリ版)/画面を開いたとき(Open WebUI・Dify) 出るものがある(Ollamaアプリ版・LM Studio・Open WebUI・Dify) 設定で止まらないものがあるため、ネットワーク側で遮断
3 使用統計 起動時・定期(10分〜24時間ごと) 既定ONのものがある(vLLM・Hugging Face ライブラリ・Dify・Weaviate) 環境変数で停止
4 外部機能 利用時 設定した接続先へ出る 社内固定/無効化
5 OSの自動更新 定期 Ubuntu Serverはセキュリティ更新の自動適用が既定で有効 停止して手動更新の運用へ

なお「通信が出ない」ことと「安全である」ことは別です。持ち出しや権限の話は記事末尾の関連記事をご覧ください。

系統1:モデルの取得は、操作したときに出る通信です

「使うときに出る」のではなく「入れるときに出る」通信で、運用開始後は発生しません。

取得はインターネット経由です(Ollama公式FAQ「Ollama pulls models from the Internet」)。Hugging Face から取得する構成では、取得済みでも新版確認の通信が出ます。

持ち込み運用にする場合は、必要な1形式だけを持ち込みます。配布物全体は推論に使う分の3倍ほどになることがあるためです。

製品別の設定(技術担当者向け)
  • Hugging Face:HF_HUB_OFFLINE=1 で新版確認を止められます。止まるのは Hugging Face 宛てだけです
  • ログイン済みの端末では認証トークンも一緒に送られます。HF_HUB_DISABLE_IMPLICIT_TOKEN=1 で止められますが、非公開リポジトリは取得できなくなります
  • 容量の例:gpt-oss-120b は配布物全体が約182GBで、推論に使う1形式(約61GB)の3.0倍でした(Hugging Face のファイル一覧より)

系統2:更新確認は、製品によっては起動しているだけで出ます

Ollamaアプリ版のように、誰も使っていない時間帯でも定期的に外へ出るものが、ここに含まれます。

Ollamaの macOS/Windows アプリ版は、60分ごとに更新確認を行います(公式ソースコード)。送るのはOSやバージョンと、端末を見分けられる情報です。社内文書や質問の内容は含みません。

注意は止め方です。アプリ設定で自動更新をオフにしてもチェック自体は続き、停止用の設定もありません。確実に止めるにはネットワーク側で遮断します。

LM Studio・Open WebUI・Dify にも更新確認があり、既定で有効です。

この系統で出ていく中身はバージョン情報と端末の識別情報であって、社内文書ではありません。リスクは限定的ですが、「出ている」事実は説明できるようにしておきます。

製品別の設定(技術担当者向け)
  • Ollama アプリ版の送信先は https://ollama.com/api/update
  • 送る内容(クエリ):OS・CPUアーキテクチャ・バージョン・時刻・乱数(nonce)。端末IDはmacOSのみ
  • 送る内容(ヘッダ):端末固有の署名鍵の公開鍵(~/.ollama に保存され毎回同じ値。Authorizationヘッダ)と、OSの詳細バージョン(User-Agent)。Windowsもこの公開鍵で端末が識別されうる
  • ソース上の記述は「Always check for updates」。停止用の環境変数はソース上に見当たりません
  • Linuxサーバー版(tgz/Docker)にはこの更新確認は含まれません(ソース上、更新確認の部分は Windows と macOS 向けにだけビルドされる指定です)
  • LM Studio:公式が、更新確認やモデル・ランタイム取得にネットワークが要ると明記。更新確認で送るのはアプリのバージョン・ビルド・OS・IPアドレス(公式プライバシーポリシー)
  • Open WebUI:ENABLE_VERSION_UPDATE_CHECK が既定 True。管理者が画面を開いたときにサーバー側から GitHub へ確認(24時間に1回)
  • Dify:CHECK_UPDATE_URL に既定値があり、画面操作を契機に確認。公式は「空にすれば無効。エアギャップ(外部から隔離した)環境向け」と記載

系統3:使用統計は、既定でオンのものがあります

匿名の使用統計を既定で送信する製品があります。判定の目安は次のとおりで、止め方は主に環境変数(設定値)です。製品名と設定は下の折りたたみにまとめました。

  • 推論エンジン・ベクトルDB・モデル取得のライブラリを使うなら、まず「既定ON」を疑う
  • アプリ基盤(Dify)は設定サンプルに項目が無く見落としやすい。停止設定を自分で追記する
  • 公式が「使用統計を含まない」と明記している製品(LM Studio)もある。記載が無い製品(llama.cpp)は、無い=出ない証明ではないので遮断で対応する
製品別の設定(技術担当者向け)
  • vLLM:既定ONで、送信先は https://stats.vllm.ai。起動時に1回、その後は10分ごとに送り続けます。停止は VLLM_NO_USAGE_STATS=1 または DO_NOT_TRACK=1(値は文字列の 1。true では止まりません)。ファイル(~/.config/vllm/do_not_track)を置く方式もありますが、参照先は VLLM_CONFIG_ROOT、XDG_CONFIG_HOME、ホームの順に決まり、実行ユーザーによって変わるため環境変数を推奨します
  • Hugging Face のPythonライブラリ(transformers 等):既定で利用データを収集。HF_HUB_DISABLE_TELEMETRY=1 で収集を止めます(Hub への通信自体は残り、ライブラリのバージョン情報は送られます)。DO_NOT_TRACK=1 は vLLM と Hugging Face の両方に効きます
  • Dify(Community版):匿名の利用統計(インストール時と30分ごとの死活情報。バージョン・OS・インスタンスIDなど)を otel.dify.ai へ既定で送ります。.env.example にこの設定は載っていないため、DISABLE_TELEMETRY=true(または DO_NOT_TRACK=true)を自分で追記します。画面側の NEXT_TELEMETRY_DISABLED=1 も併せて設定します
  • Open WebUI:公式配布物では使用統計関連の3変数が既定OFF
  • Weaviate(DifyのベクトルDBに選ぶ構成):Difyのdocker設定 WEAVIATE_DISABLE_TELEMETRY=false のため既定で止まっていません。Weaviate公式によれば、24時間ごとにマシンID・バージョン・OS・使用モジュール・オブジェクト数・コレクション数を送り、クラウド上ではAWSアカウントIDなどの識別子も加わります(v1.33以降)。公式は、この情報を商用の見込み客特定に使い第三者と共有することがあると記載しています。停止はWeaviate側の DISABLE_TELEMETRY=true です

系統4:外部機能は、設定した接続先へ出ます

これは「既定で出る」通信ではなく、設定した機能を使ったときに設定した先へ出る通信です。

重要な前提として、外部のLLM APIを接続先に設定した構成では質問そのものが接続先へ送られます。この時点で「文書は出ない」という説明は成り立ちません。Ollama のクラウドホスト型モデルも同じです。

誤解されやすいのは Open WebUIの OFFLINE_MODE です。名称が示すほど広い遮断ではなく、外部LLM API接続や、外部APIを使うWeb検索・RAG(社内文書を検索して回答に使う仕組み)は止めません。

一方、Web検索・埋め込みAPI・音声・画像生成は接続先を社内に向けられます。使う機能は接続先を社内に固定し、使わない機能は無効化し、そのうえでファイアウォール(FW・通信を遮る仕組み)で遮断します。

製品別の設定(技術担当者向け)
  • Open WebUI の OFFLINE_MODE:外部LLM API接続・外部サービスでのログイン認証・外部APIを使うWeb検索やRAGは、公式が「Still functional」と明記。系統1の HF_HUB_OFFLINE も宛先はHub限定です
  • Ollama:公式FAQの「プロンプトやデータを見ない」はローカル実行時に限った説明で、クラウドホスト型モデルを使う場合はプロンプトと応答を処理する(保存・記録・学習はしない)と続けています。クラウドモデルを使わせない設定は ~/.ollama/server.json の disable_ollama_cloud: true、または環境変数 OLLAMA_NO_CLOUD=1
  • 社内に置ける代替:SearXNG(Web検索)・埋め込みモデル・OpenAI互換API。機能を使いながら社外へ出さない構成が可能です

系統5:OSの自動更新は、AIソフトを止めても定期的に出ます

AIソフトの設定を見直しても、土台のOSが更新を取りに行けば通信は出ます。

Ubuntu Serverは公式ドキュメント上、unattended-upgrades が既定でインストールされ、セキュリティ更新の自動適用が有効とされています(Desktopは同じ記述が確認できないため断定しません)。

整理します。

  • 定期的に出るもの:OSの自動更新、時刻同期
  • 作業したときに出るもの:Dockerイメージの取得、pipでのインストール

止める場合は「止めた分の更新をどう入れるか」を運用に組み込みます。月次の持ち込みパッチなど、担当と頻度を決めないと更新が止まります。

AIソフト以外にも出る通信があります

AIサーバーを置けば、AIとは無関係の通信も棚卸しの対象になります。確認方法は共通で、サーバー単位の外向きFWルールと通信ログでの実測です。

点検対象の一覧(情報システム担当向け)
  • DNS(名前解決・DoH/DoT)
  • 証明書の失効確認(OCSP・CRL)
  • プロキシ自動検出(WPAD・PAC)
  • 利用端末のブラウザ側(セーフブラウジング・拡張機能・外部フォント)
  • GPUドライバや管理ツールの更新確認
  • EDR・資産管理・バックアップ

既定値は環境によって異なるため個別には断定しません。

弊社の標準構成では、どう止めているか

弊社の標準構成は、Linuxサーバー上の vLLM または Ollama(推論)+ Open WebUI(チャット画面)です。ご要望に応じて Dify などのアプリ基盤を加え、AIモデルも用途に合わせて複数の候補から選びます。

初期設定には、外部へ送信しない内部ネットワーク完結構成の設定を含めています。運用時にインターネット接続を必要としない構成にしています。

ただし最終的な保証はアプリ設定ではありません。サーバー単位で外向き通信を遮断し、通信ログで確認することが実体です。系統2のとおり、アプリ設定では止まらない更新確認もあるためです。

止めたあとの運用も導入時に決めます。モデル更新やパッチを選択制の保守で行うか、社内担当者の持ち込みで行うか。担当と頻度を先に決めるのが、止めっぱなしにしないコツです。

構成が変わっても点検の考え方は同じで、系統1〜5の表に当てはめれば別の構成でも確認できます。

自社環境の点検チェックリスト(10項目)

このまま情報システム担当に渡してください。経営者が決めるのは、5番の「止めた更新を誰がどの頻度で入れるか」と、9・10番を誰が確認するかの2点です。

チェック項目(できているものにチェック・括弧は対応する系統)

まとめ

  1. 社内完結の構成であれば、質問や文書は外に出ません
  2. ソフトウェア由来の通信は契機ごとに止め方が違い、アプリ設定では止まらないものもあります
  3. 確かめて初めて「社内完結」と言えます。通信ログでの確認までが説明責任の範囲です

関連記事:クラウドとの違いと接続の要否は導入前ガイド、導入の判断と持ち出し・権限の話はオフラインとクラウドの判断軸、構成や費用感はオフライン生成AI(ローカルLLM)のページをご覧ください。

構成の確認は30分ほどのご相談から

検討中の構成について「どの系統が出るのか」「どこを遮断すればよいのか」を一緒に確認するだけでも、社内説明の材料になります。本記事のチェックリストを御社の構成に当てはめる作業も、30分ほどのご相談で承ります。

ご相談・お問い合わせはこちら

参考(一次情報・2026年9月14日時点で確認)

本記事の設定名・既定値は2026年9月14日時点の公開ドキュメントとソースコードに基づきます。各製品の改版で変わることがあるため、実際に通信が止まっているかは御社環境の通信ログで確認してください。記載の製品名は各社の商標または登録商標です。